非常用発電機の容量選定|kW・kVAと始動負荷の確認
2026/02/18
非常用発電機の容量は、建物の種類や広さだけでは決まりません。停電時に動かす設備を決め、その運転電力に加えて、電動機の始動や負荷の投入による変動を確認します。
既設の発電機へ新しい負荷を追加する場合も、定格容量に余裕があるという理由だけで接続を決めず、容量計算書と実際の接続・運転条件を照合します。
目次
容量表示と負荷の単位を確認する
kWとkVAの違い
kWは有効電力、kVAは皮相電力を表します。力率は有効電力と皮相電力の比であり、エンジンの燃料効率とは別のものです。電力の関係は「kW=kVA×力率」で表します。
例えば定格力率0.8で100kVA・80kWと表示された設備でも、負荷の特性を問わず80kWまで自由に接続できるという意味ではありません。発電機と原動機の定格、電流、力率などの条件を確認します。
電動機の出力と入力
ポンプ等の電動機に表示される出力は、電動機が機械側へ出す力を表す場合があります。発電機から必要となる電気入力には効率も関わるため、銘板・仕様書で定格電流、効率、力率を確認します。
相数・電圧・周波数
容量が足りていても、相数・電圧・周波数が給電先と適合していなければ使用できません。単相負荷の接続では各相の偏りも確認します。
負荷の運転条件を容量計算に反映する
給電先を一覧にする
消防用設備等、建築設備、事業継続のための負荷を整理し、それぞれに必要な電源と運転条件を確認します。必要な運転時間や優先順位は、給電先の基準と運用計画に従います。
定常運転だけでなく始動時も確認する
電動機は始動方式によって必要な始動電流とトルクが異なります。直入れ、スターデルタ、インバーター等の方式を把握し、始動順序や他の負荷が動いている状態を含めて検討します。
負荷投入時の電圧・周波数の変動、非線形負荷による高調波、各相の不平衡なども容量選定に関わります。負荷合計に一定の安全率を掛けるだけでは、これらの条件を確認できません。
容量計算書を確認する
適用する計算方法と各係数、負荷の入力条件を明記して、発電機・原動機の両方を選定します。計算書の最大値だけでなく、実際の始動方式や運転順序が前提と一致しているかを確認します。
容量の検討に必要な資料
施設名だけで容量を決めない
同じ病院や事務所でも、非常時に動かす設備は異なります。医療機器、空調、情報機器、ポンプなどについて、必要な給電範囲と停止を許容できる時間を関係者で確認します。
事前にそろえる情報
- 単線結線図と既存の発電機容量計算書
- 給電する設備の名称、台数、相数・電圧
- 消費電力・定格電流・力率・効率
- 電動機の始動方式と始動電流
- 同時運転する設備と投入順序
- UPS・インバーター等の仕様と負荷特性
- 増設予定と必要な連続運転時間
既設設備の変更時
負荷を追加・変更したときは図面と計算書を更新し、保護・切替・配線容量も照合します。試運転や負荷試験の結果と合わせて確認し、設備の変更が必要な場合は保安担当者や設計者と調整します。
燃料・運転時間と点検を合わせて考える
出力容量と運転時間を分けて検討する
発電容量は供給できる電力、運転時間は燃料の確保と機器の連続運転仕様などに関わります。大きい発電機を選べば長時間運転できるということではありません。
燃料量は機種の燃料消費量と想定負荷から検討し、使用可能量、補給方法、燃料の管理状態を確認します。ディーゼル・ガスタービン・ガス式を比較する際も、同じ出力と運転条件で資料を照合します。
容量の確認と設備の状態確認
容量計算が適切でも、燃料系統や冷却系統、始動装置などに不具合があれば必要な給電ができません。当社では負荷試験・点検・診断を行い、確認された不具合の整備・修理まで対応します。
容量についてご相談の際は、発電機の型式と給電先の資料をお知らせください。設備の状態と計画内容を確認し、必要な調査範囲をご相談します。
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